利上げで個人向け国債に移すべきか——年数万円のために、ぼくが手間を増やさなかった理由
2026年9月19日

📌 この記事でわかること
- ✅ 政策金利1.25%で、住宅ローンのない家計に起きること
- ✅ 現金を個人向け国債に移すと、実際いくら増えるのか(試算)
- ✅ 計算したうえで、ぼくが現金を動かさなかった3つの理由
- ✅ 「現金はインフレで目減りする」への、ぼくなりの答え
- ✅ ぼくが銀行を金利で選んでいない理由
2026年9月18日、日銀が政策金利を1.25%に引き上げた。31年ぶりの水準だという。
利上げの記事を開くと、目につくのは住宅ローンの話だ。ぼくは賃貸で、借入がない。では、ローンのない勤務医の家計に、利上げは何をもたらすのか。
先に結論を書いておく。ぼくは現金を1円も動かしていない。個人向け国債に移すことを検討して、計算して、やめた。この記事はその記録だ。
チワゴ
先生、また利上げのニュースが出ていました。休憩室でも「預金を国債に移したほうがいい」という話になっていて、先生は何かされたんですか?
どくたろう
計算を1回しただけだよ。その結果、何もしないことにしたんだ。
💴 利息が3桁になった
金利が上がったことを実感したのは、ニュースではなく家計簿アプリだった。マネーフォワードに、銀行の利息の入金が記録されている。その金額が3桁になっていた。
たいした額ではない。それでも「少し上がったんだな」と思った。ぼくの実感は、その程度だ。
借りている人は払う利息が増え、預けている人はもらう利息が増える。ローンのないぼくにとって、利上げは基本的に追い風である。問題は、その追い風をどこまで取りにいくかだ。
🏦 ぼくの現金は、2つの層に分かれている
現金の置き場所は、地銀の普通預金と、ドコモSMTBネット銀行(旧:住信SBIネット銀行)のSBIハイブリッド預金だ。お金の流れの作り方は以前の記事に書いたので、ここでは繰り返さない。
大事なのは中身のほうで、ぼくは現金を2つの層に分けて考えている。
| 層 | 目的 | 量 |
|---|---|---|
| 生活防衛資金 | 病気や突発的な出費に備える | 基礎生活費の6か月分 |
| 別枠 | 子どもの教育費、医局人事での転居費用 | 同じく数か月分 |
1つ目の層は、すぐ引き出せることが存在意義だ。ここは最初から動かす対象にならない。検討したのは、2つ目の「別枠」のほうである。
🧮 個人向け国債に移すと、いくら増えるか
候補にしたのは、個人向け国債の変動10年だ。元本割れがなく、半年ごとに利率が見直されるので、金利が上がればついていく。安全資産の置き場としては、いちばん筋がいい。
仮に基礎生活費を月40万円、別枠を6か月分の240万円として計算する。
| 置き場所 | 金利(税引前) | 240万円の年間利息(税引後) |
|---|---|---|
| SBIハイブリッド預金 | 年0.41% | 約7,800円 |
| 個人向け国債 変動10年 | 年1.95% | 約37,300円 |
| 差額 | — | 約2万9,000円 |
個人向け国債の変動10年は、2026年9月募集分(第198回債)の初回適用利率が年1.95%。半年ごとに見直されるので、この利率が続くわけではない。預金金利のほうも、今回の利上げを受けて今後変わる可能性がある。
年に約3万円。手続きをしてお金を移すと、これだけ増える。
チワゴ
3万円って、けっこう大きくないですか? 何もしなければゼロですよね。
どくたろう
小さくはないよ。ただ、ぼくの資産の大半はリスク資産なんだ。仮に2,000万円あれば、1%動くだけで20万円。年3万円は、市場が1日で動かす幅より小さいんだよね。
✋ それでも動かさなかった3つの理由
① 安全資産に、稼ぐ仕事をさせない
ぼくは毎月、かなりの額をリスク資産に入金している。リターンを取りにいくのは、そちらの仕事だ。
現金の仕事は違う。減らないことと、必要な日に引き出せること。それだけである。その部分で小さな収益増を狙いはじめると、役割分担があいまいになる。
② 別枠は、使う予定のあるお金だ
個人向け国債は、発行から1年間は換金できない。1年を過ぎても、中途換金すると直前2回分の利子相当額が差し引かれる。
教育費は時期が読める。転居は読めない。医局人事の内示は、ある日突然やってくる。使う予定のあるお金を、10年ものの商品に入れる理由がなかった。
③ 手間を増やさない
国債を買えば、半年ごとの利率が気になる。換金のタイミングも考えることになる。年3万円のために、考えることが1つ増える。
これはポイ活をやめたときと同じ判断だ。その時間と注意力は、本業か家族に使いたいと思っている。
🙋 では、誰が買うと合うのか
ここまで読むと、ぼくが個人向け国債を悪く言っているように見えるかもしれない。そうではない。ぼくの現金の使い道に合わなかったというだけの話だ。
合う人と合わない人を、ぼくなりに整理するとこうなる。
| 検討する価値がある | そのままでいいと思う |
|---|---|
| 当面使う予定のないまとまった現金がある | 数か月以内に使う予定がある |
| 資産の大半が現金で、値動きのある商品は持ちたくない | リスク資産を十分に持っていて、現金は防衛用と割り切っている |
| 金額が大きく、金利差が数万円では済まない | 増える額より、管理を増やしたくない気持ちが勝つ |
要は金額と、使う時期だ。同じ商品でも、1,000万円を10年置ける人と、240万円をいつ使うかわからない人とでは、答えが変わる。ぼくは後者だった。
📉 「現金は目減りする」への答え
ここで、こう思う人がいるはずだ。物価が上がっているのに低金利の預金に置いたままでは、実質的に目減りしているのではないか、と。
そのとおりだ。現金だけを切り出して見れば、目減りしている。
ただ、ぼくは現金だけを持っているわけではない。世界中の株式に分散したリスク資産を持っている。資産全体で見れば、インフレへの備えはすでにできていると考えている。
チワゴ
現金の部分だけを見るから、損しているように見えるんですね。
どくたろう
そう。怖いのは、目減りを気にしすぎて全体のバランスを崩すことだよ。防衛資金まで投資に回して、暴落と転居が重なったら、いちばん安いところで売ることになる。
📊 オルカンの積立は、何も変えていない
リスク資産の側も、何も変えていない。
利上げは教科書的には円高の要因で、円高になれば外貨建て資産の円換算額は下がる。頭をよぎらなかったと言えば嘘になる。それでも積立額も銘柄もそのままだ。
インデックス投資は淡々と続けるものだと思っている。金利や為替を読んで動くつもりなら、最初からオルカン1本にはしていない。
🔗 ぼくは、金利で銀行を選んでいない
ここは正直に書いておく。
ぼくがドコモSMTBネット銀行を使っている理由は、SBI証券との連携だけだ。ハイブリッド預金に入れたお金は、そのままSBI証券の買付余力になる。NISAの積立が、何もしなくても回る。
金利で選んだわけではない。実際、ハイブリッド預金の0.41%は、同じ銀行の普通預金0.40%とほとんど変わらない。金利を理由に選ぶ銀行ではないし、ぼくもそういう選び方をしていない。
チワゴ
金利が高いから使っているんだと思っていました。
どくたろう
仕組みが楽だから使っているだけだよ。0.01%の差で銀行を選んでも、年に数百円にしかならないからね。
🏠 見直しが必要なのは、借りている人のほうだ
利上げを「何もしない」で済ませられない人もいる。変動金利で借入をしている人だ。
チワゴ
職場でも、ローンの返済額が上がるかもしれないと心配している人がいます……。
どくたろう
借入がある人にとっては、預金の利息どころじゃない話だよね。返済額が上がっても家計が回るか、一度は計算しておいたほうがいいと思う。
ぼく自身は、引き続き賃貸の方針だ。医局人事で動く以上、その判断は金利が上がっても変わらなかった。
🩺 利上げに関係なく、やっておくこと
結局、利上げを受けてぼくがやったのは、計算を1回しただけだ。
それができたのは、ライフプランを立てていて、家計簿をつけていたからだと思う。基礎生活費がいくらか、いつ何にいくら必要か。それがわかっていたから、「防衛資金は6か月分」「別枠はここまで」と線が引けた。年3万円という数字も、落ち着いて見ることができた。
利上げだからやるべきことは、ぼくにはなかった。利上げに関係なくやっておくべきことを、やっていただけだ。
どくたろう
金利差を追いかける前に、資産全体のバランスを一度見てみてほしいな。土台ができていれば、ニュースのたびに慌てなくて済むから。
📋 この記事のまとめ
- ✅ 利上げは、ローンのない家計には基本的に追い風。問題はどこまで取りにいくか
- ✅ 現金240万円を個人向け国債に移しても、増えるのは年約3万円
- ✅ 安全資産の仕事は減らないこと。稼ぐ仕事はリスク資産に任せる
- ✅ 使う予定のあるお金を、10年ものの商品には入れない
- ✅ 現金の目減りは、資産全体で見ればすでに備えができている
- ✅ 銀行は金利ではなく仕組みで選んでいる
- ✅ 金利差を追う前に、ライフプランと家計簿で土台を整える
⚠️ 免責事項
この記事の内容は、著者の個人的な経験と考え方にもとづくものであり、特定の金融商品の購入や売却を勧めるものではありません。記載の金利は2026年9月時点で公表されている情報にもとづいており、今後変更される可能性があります。試算は仮定の金額による概算です。最新の金利・商品内容や中途換金の条件は、財務省および各金融機関の公式情報をご確認ください。