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家計管理

新NISAとiDeCo、どちらから取り崩す?勤務医が出した「iDeCoは一時金、NISAは最後」という結論

2026年7月28日

新NISAとiDeCo、どちらから取り崩す?勤務医が出した「iDeCoは一時金、NISAは最後」という結論

📌 この記事でわかること

  • ✅ 現金・課税口座・NISA・iDeCoを、どの順番で取り崩すつもりか
  • ✅ iDeCoを年金形式ではなく一時金で受け取ると決めた理由
  • ✅ 2026年から始まった「10年ルール」と、それをあえて狙わない判断
  • ✅ 課税口座の配当が「気楽」である理由と、その気楽さの期限
  • ✅ 取り崩す順番より先に決めた「売る回数を減らす」という設計

前回の出口戦略の記事で、ひとつ宿題を残した。現金・課税口座・NISA・iDeCoのうち、どれを先に取り崩すと有利か。税金がからんで奥が深いので別の記事で扱う、と書いたまま置いてあった。今日はその回収をする。

結論から書く。ぼくの順番は、iDeCoが先、NISAが後だ。

ただ、この答えにたどり着く前に決めたことがある。順番を考える回数そのものを減らす、ということだ。理由は単純で、受け取る頃のぼくは、今より判断能力が落ちているはずだからだ。

チワゴ

チワゴ

先生、まだずっと先の話ですよね。今から決めておくものなんですか。

どくたろう

どくたろう

制度の中身はこれからも変わる。でも設計の思想は先に決めておける。というより、頭がはっきりしているうちにしか決められないんだ。

🗂️ まず、ぼくの資産がどこにあるかを整理する

順番の話をする前に、置き場所を並べておく。

置き場所 中身 取り崩し期の役割
NISA つみたて投資枠オルカン特別費が出たときだけ売る
NISA 成長投資枠日本の高配当株配当を受け取る。売らない
課税口座VYM、成長投資枠に収まらなかった高配当株配当を受け取る。売らない
iDeCo外国株式インデックス退職時に一時金で一括
現金目的別口座一定額を常にキープ

日々の生活費は、公的年金と配当でまかなう。オルカンは特別費のためにとっておく。現金は生活費の予備として一定額を残す方針で、iDeCoを一時金で受け取れば、ここに厚みが加わる。

チワゴ

チワゴ

生活費のために毎月少しずつ売る、というのではないんですね。

どくたろう

どくたろう

そこが一番の分かれ道だと思っている。毎月売る設計にすると、毎月判断が必要になるからね。

🧪 一度VYMに切り替えて、わかったこと

この設計は思いつきではない。一度、実験している。

以前の記事に書いたとおり、米国の高配当ETFであるVYMに切り替えた時期があった。きっかけは「インデックス投資は配当が出ないからキャッシュフローが良くならない。将来、売りながら使うのも心理的に負担になる」という文章を読んだことだった。なるほどと思ってしまった。

配当が定期的に入ってくるのは、確かに心地よかった。ただ、切り替えのために一度売却したときの利確が、想像以上に心理的な負担だった。

そこで気づいた。少しずつ売りながら生活費に充てていくスタイルは、自分には合わない。

チワゴ

チワゴ

実際にやってみて、わかったんですね。

どくたろう

どくたろう

当時は迷走したと思っていた。でも今になって、あの体験が一番役に立っている。

新NISAに移行するタイミングで方針を整理した。VYMはそのまま保有を継続し、積立の新規購入はオルカン1本に絞った。資産効率だけで言えばオルカンに一本化するほうが有利なのは自覚している。それでも配当の部分を残したのは、将来の自分に売る判断をさせたくないからだ。

🔁 「順番」より先に決めたのは、売る回数を減らすことだった

出口戦略の記事の多くは、どの口座から先に崩すと税金が有利か、という話をする。それは正しい議論だ。

ただ、その最適解を実行するのは、60代、70代、80代の自分である。

医師として高齢の患者さんを診ていると、判断能力がどう変化していくかは、嫌でも目にする。自分だけが例外だとは思えない。

だから設計の基準を、有利さから「壊れにくさ」に変えた。

📊 判断が必要になる回数

  • 毎月の生活費 → 年金と配当で自動的に入ってくる。判断はゼロ
  • 特別費 → そのときだけオルカンを売る。判断は年に数回
  • iDeCo → 退職時に一度きり。判断は生涯1回
チワゴ

チワゴ

判断する回数で設計を決めるという考え方、初めて聞きました。

どくたろう

どくたろう

資産額を最大にする設計と、自分が最後まで管理しきれる設計は、別物なんだ。

💰 iDeCoは退職時に一時金。年金形式を選ばない理由

iDeCoの受け取りは、60歳から75歳までの間で開始時期を選べる。受け取り方も、一時金、年金形式、その併用から選べる。

ぼくは退職のタイミングで、一時金として一括で受け取るつもりだ。

以前の記事にも書いたが、年金形式にすると公的年金と合算されて計算が複雑になる。一時金なら退職所得控除を使って、その年で完結する。

退職所得控除は加入期間で決まる。

  • 加入期間20年以下:40万円 × 加入年数
  • 加入期間20年超:800万円 + 70万円 ×(加入年数 − 20年)

iDeCoの場合、これは勤続年数ではなく加入期間で計算される。だから転勤で勤務先が変わっても、加入を続けている限り積み上がっていく。転勤の多い医師にとって、これは数少ない有利な点だ。

そして一時金を受け取れば、その資金は現金として手元に来る。生活費の予備として一定額の現金を残しておく方針なので、このタイミングで現金の層が厚くなる。

⏳ 2026年から「10年ルール」になった。でも、ぼくは狙わない

ここで、2026年1月から変わった制度に触れておく。

iDeCoの一時金と勤務先の退職金を両方受け取る場合、退職所得控除の重複部分が調整される仕組みがある。従来は、iDeCoを先に受け取ってから退職金までの間隔が5年あれば調整を避けられた。それが、2026年1月1日以後に支払を受ける老齢一時金からは、退職金を受け取る年の前年以前9年内にiDeCoの一時金があると調整対象になる。実務上「10年空ける必要がある」と言われるのは、このためだ。

逆に、退職金を先に受け取り、あとからiDeCoの一時金を受け取る場合は、前年以前19年内が調整対象になる。こちらのほうが条件は厳しい。

チワゴ

チワゴ

10年も空けるって、現実的なんでしょうか。

どくたろう

どくたろう

60歳でiDeCo、70歳で退職金。そう組めれば理屈は通る。でもぼくは、その予定を10年先まで守れるとは思っていないんだ。

今の病院には退職金制度がある。ただ、この先も同じ病院にいるとは限らない。ぼくは医局人事で3回動いてきた。次にどう動くかは、ぼくが決めることではない。

制度の隙間を狙う設計は、前提が変わった瞬間に崩れる。10年先の受け取り時期を今から固定して、そこに向けて最適化するのは、ぼくの働き方には合わない。

だから狙わない。控除の枠を最大限に使い切ることは諦めて、確実に終わる形を選ぶ。

⚠️ 税額はあくまで目安です

税額は退職時の他の所得や、その年の控除の状況によって変わります。実際の受け取り設計は税理士にご確認ください。

家を買わなかったときと、判断の構造はまったく同じだ。先が読めないなら、最適化ではなく、壊れにくさを取る。

🧾 課税口座は「気楽」でいい。ただし永久ではない

ぼくの高配当資産は、成長投資枠に収まりきらなかった分が課税口座にある。VYMも課税口座だ。

課税口座と聞くと損をしているように見えるが、特定口座の源泉徴収ありにしておけば、税金は自動的に引かれて完結する。確定申告もいらない。手間の面では、むしろ気楽だと感じている。

しかも高齢期には、この「申告しない」という選択が効いてくる場面がある。上場株式の配当や譲渡益は、確定申告をすれば国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険の保険料や自己負担割合の判定に勘案されるが、申告しなければ勘案されない。

チワゴ

チワゴ

申告しないほうが負担が軽くなることがあるんですか。

どくたろう

どくたろう

場面によってはね。ただ、この差は「不公平だ」という議論が実際に進んでいるところなんだ。

現在、国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険について、確定申告の有無で保険料が変わる状態を是正する方向で検討が行われている。NISAは対象外と整理されているが、課税口座は違う。

つまり今の気楽さは、制度に支えられた気楽さだ。恒久的なものではない。

それでもぼくがこの形を続けるのは、税制が変わっても、配当が入ってくる仕組みそのものは壊れないからだ。手取りは減るかもしれない。それでも「毎月いくら売るか」を判断しなくていいという設計は残る。守りたいのは、そこだ。

🧠 判断能力が衰える前提で設計する

まとめると、ぼくの取り崩しはこうなる。

  1. 日々の生活費は、公的年金と配当。売らない
  2. 特別費が出たときだけ、オルカンを売る
  3. iDeCoは退職時に一時金で一括。生涯1回
  4. 現金は一定額を常に残す。iDeCoの一時金で厚みが増す

順番で言えば、iDeCoが先でNISAが後だ。ただ実態としては、NISAは必要なときだけ手をつける置き場所であって、順に崩していく対象ではない。

公的年金は、老齢基礎年金の満額が令和8年度で月70,608円。前回の記事と同じく、ここを下限として見積もり、足りない分を配当で埋める。

チワゴ

チワゴ

有利かどうかより、続けられるかどうかで選んでいるんですね。

どくたろう

どくたろう

一番いい計画は、実行できる計画だよ。80歳のぼくに実行できないなら、それは計画とは呼べない。

医師として働いていると、患者さんやそのご家族が、資産の管理に苦労している場面に立ち会うことがある。制度を細かく使いこなす設計は、元気なうちは機能する。でも、それを何十年も維持し続けられる保証は、どこにもない。

だからぼくは、将来の自分に宿題を残さない形を選んだ。

📋 この記事のまとめ

  • ✅ 日々の生活費は年金と配当でまかなう。オルカンは特別費のときだけ売る
  • ✅ iDeCoは退職時に一時金で一括。年金形式は選ばない
  • ✅ 退職所得控除は加入期間で決まるので、転勤の多い医師でも積み上がる
  • ✅ 2026年1月から10年ルールになったが、人事で動く前提のぼくは狙わない
  • ✅ 課税口座は源泉徴収で完結するので手間は少ない。ただし制度見直しの議論はある
  • ✅ 取り崩す順番より、売る判断の回数を減らすことを優先した

⚠️ 免責事項
この記事は著者個人の経験と考え方にもとづくものです。税制・社会保険の制度は今後変更される可能性があります。記載の制度内容は2026年7月時点の情報です。実際の受け取り設計や税務の判断は、税理士など専門家にご確認ください。この記事は特定の商品の購入を勧めるものではありません。

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