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家計管理

iDeCoの上限が月6.2万円に。計算したら1,240万円得だったが、ぼくは増やさない

2026年10月24日

iDeCoの上限が月6.2万円に。計算したら1,240万円得だったが、ぼくは増やさない

📌 この記事でわかること

  • ✅ 2026年12月のiDeCo改正で何が変わるか(上限は月6.2万円、加入は70歳まで)
  • ✅ 月5,000円・月6.2万円・70歳まで延長の3パターンで、出口の税金はいくらになるか
  • ✅ NISAが満枠の人にとって、本当の比較相手は特定口座であること
  • ✅ 計算上は約1,240万円有利でも、ぼくが増額しない理由

2026年12月分から、iDeCoの掛金の上限が上がる。会社員・公務員は月6.2万円までになる。

ぼくの今の掛金は月5,000円だ。以前の記事で書いたとおり、出口の税金を考えて、月2万円から減らした金額である。

新しい上限は、今の掛金の12倍以上になる。それを知って最初に思ったのは、「増やせば大きな金額になる」ということだった。同時に、受け取るときに税金がかかりそうで、計算が複雑になるとも思った。

そこで、以前の計算を改正後の制度でやり直した。先に結論を書いておく。計算上は、増額したほうが約1,240万円得をする。それでも、ぼくは増やさない。

チワゴ

チワゴ

上限が今の掛金の12倍以上ですよね。先生、増やさないんですか?

どくたろう

どくたろう

増やさない。ただ、計算では負けていることを先に認めておくよ。

📅 2026年12月、iDeCoで変わること

改正のポイントは2つある。

ひとつは掛金の上限だ。会社員・公務員は月6.2万円になる。企業年金や共済などがある人は、その掛金相当額を差し引いた額が上限になる。2026年12月分(2027年1月引き落とし分)から適用される。

もうひとつは加入できる年齢だ。70歳未満まで加入し、掛金を出し続けられるようになる。老齢基礎年金やiDeCoの給付をまだ受け取っていないことなどが条件になる。

ℹ️ 増額するなら特例を確認

掛金の変更は、通常は年1回までです。ただし、2026年12月1日から2027年11月30日までの間に、改正前の上限を超える額へ初めて増額する変更は、この回数に数えません。手続きの締切は金融機関ごとに異なるので、加入先で確認してください。

チワゴ

チワゴ

先生の上限は、いくらだったんですか?

どくたろう

どくたろう

満額の6.2万円だった。だから「枠が足りない」という言い訳はできないんだ。

🧮 3つのパターンで出口の税金を計算した

前提は以前の記事と同じにした。今の残高は約350万円、年利7%、退職までの25年、65歳で一時金として一括で受け取る。

退職所得控除は加入期間で決まる。65歳で受け取ると加入期間は約34年で、控除は1,780万円だ。70歳まで延ばすと約39年で、2,130万円になる。

パターン受け取り時の残高出口の税金
① 今のまま(月5,000円・65歳)約2,300万円約43万円
② 月6.2万円に増額(65歳)約6,900万円約1,020万円
③ 月5,000円のまま70歳まで約3,270万円約130万円

①は、以前の記事で出した約41万円とほぼ同じだ(計算方法の違いで少しずれている)。③は控除が350万円増えるが、残高の伸びのほうが大きく、出口の税金はかえって増える。しかも70歳まで加入を続けるには、老齢基礎年金の受け取りも70歳まで遅らせる必要がある。

チワゴ

チワゴ

②は1,000万円以上!? やっぱり増やすと損なんですね。

どくたろう

どくたろう

ぼくも最初はそう思った。でも、それは比べる相手を間違えているんだ。

⚖️ 本当の比較相手は「特定口座」だった

ぼくの新NISAは、すでに満枠だ。それを超える分は、特定口座で投資している。つまりiDeCoを増やさない場合、増額分の月5.7万円が向かう先は、NISAではなく特定口座になる。

特定口座も、利益には約20%の税金がかかる。一方、iDeCoには掛けるときの所得控除がある。所得税33%と住民税10%で計算すると、月5.7万円の増額で、毎年約29万円の税金が戻ってくる。

25年後の手取りで比べると、こうなった。

💰 増額分の月5.7万円を、どこに置くか(25年後の手取り)

  • iDeCoに増額した場合:出口で約1,020万円を払い、戻った税金は特定口座で運用する → 約7,530万円
  • 特定口座に置いた場合:利益に約20%課税される → 約6,290万円

差は約1,240万円で、iDeCoへの増額のほうが有利だった。

⚠️ 試算の前提

年利7%、税率が25年間変わらないこと、戻った税金も投資に回すことを前提にしています。戻る税金には復興特別所得税を含めていません(含めると差はもう少し広がります)。また、勤務先の退職金と同じ年に受け取ると、iDeCoと退職金で1つの控除を分け合うため、どのパターンでも税金は増えます。ここでは退職金は考えていません。

チワゴ

チワゴ

出口で1,000万円払っても、入口で戻る税金のほうが大きいんですね。

どくたろう

どくたろう

そう。以前は「積み立てるほど得とは限らない」と書いた。でも、NISAの枠が埋まっている今は、数字だけ見れば増やすほうが得なんだ。

🔒 それでも増やさない理由① 逃げられないお金になる

iDeCoのお金は、原則として60歳まで引き出せない。ぼくの場合は、65歳で受け取るまで動かさない計画だ。

気になるのは、その間に条件が変わったときである。管理にかかる手数料が上がっても、iDeCoという制度から抜け出すことはできない。出口の税制が改悪されても、そのお金は逃がせない。

実際、出口のルールはすでに一度変わっている。2026年1月から、iDeCoを先に受け取る場合に退職金との間で空けるべき期間が、実質5年から10年に延びた(この話は別の記事に書いた)。25年後のルールが今と同じだと考えるほうが不自然だ。

特定口座なら、条件が気に入らなければ売って別の場所に移せる。税金はかかるが、逃げ道はある。

なお、子どもの教育費は、最初からiDeCoを解約できない前提で組んでいる。だから「急にお金が必要になって困る」という心配はしていない。避けたいのは、制度の変化から逃げられないことだ。

チワゴ

チワゴ

1,240万円の差を、逃げ道のために手放すんですか?

どくたろう

どくたろう

そう考えている。1,240万円は、逃げ道を残しておくための費用だと思っているよ。

🧠 それでも増やさない理由② 80歳の自分に、この計算はできない

もうひとつの理由のほうが大きい。

今回の比較は、退職所得控除、累進税率、戻った税金の運用、特定口座の課税と、いくつもの計算を重ねてやっと出た数字だ。そして増額すれば、受け取るときにも同じような計算が必ず要る。退職金との受け取り順、10年ルール、税率の区分。判断を誤れば、得するはずだった差は簡単に削られる。

ぼくは取り崩しの設計を、「将来の自分は判断力が落ちている」という前提で組んでいる(取り崩しの順番を考えた記事に書いた)。老化で判断力が下がれば、この複雑な計算と手続きは扱えなくなる。

月5,000円のままなら、残高が控除を超えるのは500万円ほどで、出口の税金は約43万円だ。受け取りのときに迷う場面は、ほとんどない。

チワゴ

チワゴ

得な形より、最後まで自分で扱える形を選ぶんですね。

どくたろう

どくたろう

1,240万円の差より、計算しなくても終わる仕組みのほうに価値があると思っているよ。

🩺 増やすかどうか迷っている人へ

数字の上では、NISAを満枠まで使ったうえで余力がある人ほど、増額は有利になりやすい。

ただ、判断の基準は損得だけではない。65歳まで動かせないお金を増やしてもいいか。出口の税金と受け取り方を、退職するときの自分が判断できるか。この2つに自信があるなら、増額は合理的な選択だと思う。ぼくには、その自信がなかった。

📋 この記事のまとめ

  • ✅ 2026年12月分から、iDeCoの上限は会社員・公務員で月6.2万円、加入は70歳未満までに
  • ✅ 月6.2万円に増額すると、出口の税金は約1,020万円。70歳まで延ばしても税金は減らない
  • ✅ NISAが満枠なら、比べる相手は特定口座。計算上は増額のほうが約1,240万円有利
  • ✅ それでも増やさない。手数料や出口の税制が変わっても、65歳まで逃げられないから
  • ✅ 将来の自分が扱えない計算と手続きを、今つくらないことを優先した

⚠️ 免責事項
この記事は著者個人の経験と考え方にもとづくものです。記載の制度内容は2026年10月時点で公表されている情報にもとづきます。試算は一定の前提を置いた概算で、実際の税額は退職時の所得、退職金の有無、制度の変更によって異なります。掛金の設定や受け取り方は、加入先の金融機関や税理士など専門家にご確認ください。

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