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保険見直し

医療保険はいらない。でも医師賠償責任保険だけは自分で入る理由

2026年7月13日

医療保険はいらない。でも医師賠償責任保険だけは自分で入る理由

📌 この記事でわかること

  • ✅ 生命保険・医療保険を持たないぼくが、医師賠責だけは自分で入っている理由
  • ✅ 医療訴訟の賠償が「億単位」になりうる現実と、弁護士費用の扱い
  • ✅ 勤務先の団体保険があっても個人で入る、ぼくの判断
  • ✅ 医師賠責を選ぶときに実際に見た2つのポイント

ぼくは、保険をほとんど持っていない。生命保険も、医療保険も入っていない。それでも、医師賠償責任保険(医賠責)だけは、自分のお金で入り続けている。

一見矛盾しているようだが、ここにはぼくなりの一貫した基準がある。今日はその話をしたい。

どくたろう

どくたろう

保険はほとんど持っていないぼくだけど、医賠責だけは別なんだ。

チワゴ

チワゴ

先生、医療保険もいらないって言っていましたよね。なのに、その保険だけは入っているんですか?

どくたろう

どくたろう

そう。ここには、ぼくの保険の考え方が全部つまっている。

保険を選ぶ基準は、ひとつだけ

ぼくが保険に入るかどうかを決める基準は、ひとつしかない。

「起きる確率は低くても、起きたら人生が終わる規模のものにだけ、保険をかける」——これだけだ。

逆に言えば、貯蓄や公的制度で吸収できる範囲のことには、保険をかけない。医療費がその典型だ。日本には高額療養費制度があり、どれだけ大きな病気をしても自己負担には上限がある。だから、ぼくは医療保険を持たない。この話は別の記事に書いた。

→ 医師が医療保険に入らなかった理由はこちら

生命保険も同じ考え方で整理して、今は解約している。

→ 生命保険を解約した勤務医の計算式はこちら
チワゴ

チワゴ

医療費は制度と貯金でなんとかなるから、保険はいらない。そういう整理なんですね。

どくたろう

どくたろう

そう。でも、医賠責はこの基準に真正面から当てはまる。「めったに起きないけど、起きたら貯金では到底払えない」——その代表なんだ。

なぜ医師賠責だけは外せないのか

医療訴訟の賠償額は、ときに億単位になる。

勤務医個人の責任が問われ、賠償額が3億円を超えた判決もある。脳に重い後遺障害が残り、寝たきりになったケースだ。脳性麻痺の事案などでも、2億円近くになることは珍しくない。

しかも、この金額は「被害者が誰か」ではほとんど変わらない。賠償額は後遺障害の重さや将来の介護費用をもとに、交通事故とほぼ同じ基準で計算されるからだ。つまり、どの診療科の、どんな医師にも、億単位の賠償は起こりうる。

チワゴ

チワゴ

億って……。さすがに貯金では無理ですよね。

どくたろう

どくたろう

無理だね。どれだけ資産をつくっても、数億円をいきなり払える人はまずいない。ここは「自分で背負う」を選べない領域なんだ。

もうひとつ、知っておいてよかった事実がある。医賠責では、裁判になったときの弁護士費用などの争訟費用が、原則として賠償金の支払限度額とは別枠で補償される。「上限額を弁護士費用で削られて、肝心の賠償に足りなくなる」ということが起きにくい設計だ。

だから、医賠責はぼくの基準にぴったり当てはまる。ここにはお金を払う価値がある。

病院が入っているのに、なぜ個人でも入るのか

チワゴ

チワゴ

でも、病院も保険に入っているんじゃないんですか?

どくたろう

どくたろう

たぶん入っていると思う。でも、ぼくはその中身を正確には把握していないんだ。

それぞれの勤務先に問い合わせれば、教えてはくれると思う。でも、わざわざ聞けば「面倒な医者だ」と思われかねない。まして、当直やスポットのバイト先に「ぼくが失敗しても大丈夫な保険に入っていますか」なんて、実際問題、聞けるものじゃない。

だから、勤務先が何にどこまで備えているかは、結局わからないまま働くことになる。勤務医は転勤も多いから、病院が変われば団体保険の内容も補償の範囲も変わる。

そしてもうひとつ。本当に一大事になったとき、病院と自分の利害が一致しない場面がありうる、とも思っている。組織として自分を守り切ってくれる保証はどこにもない。切り捨てられる可能性がゼロだとは、言い切れない。

なお、ぼくは医師会などの準強制の保険には入っていない。入れるものすべてに入るのではなく、自分の基準で必要なものだけを選ぶ。医賠責は「自分で確実に持っておく」を選んだ、という話だ。

チワゴ

チワゴ

病院任せにせず、自分の分は自分で確保しておくんですね。

どくたろう

どくたろう

そう。聞きにくくて確かめられないものを頼りにするより、自分で持っている一枚のほうが、ぼくは安心できる。

加入時に見たのは、対象範囲と自動継続だった

では、医賠責をどう選んだか。ぼくが実際に見たのは、細かい保険料の比較ではなく、2つのポイントだった。

ぼくが加入時に見た2つのポイント

  • 対象範囲——常勤先だけでなく、当直やバイト先での医療行為までカバーされるか
  • 自動継続——転勤で勤務先が変わっても保障が途切れないか。異動の報告を忘れたときに丁寧に対応してもらえるか

勤務医は複数の場所で働くことが多いから、対象範囲は外せない。そして自動継続については、実際に先輩に確認した。

チワゴ

チワゴ

金額よりも、「転勤しても切れないか」を先に見たんですか。

どくたろう

どくたろう

そう。ぼくにとっては、保険料の差より、いざというときに確実に効くことのほうが大事だった。転勤のたびに切れる保険では、意味がないからね。

ちなみに、個人加入の医賠責は、億単位に備えるプランでも保険料は月数千円ほどが目安になる。学会経由なら割引が効くことも多く、ぼくもそうしている。むしろその割引価格が当たり前で、通常価格という感覚に近い。

それでも最後は、保険より腕

チワゴ

チワゴ

でも、切り捨てられるかも、って考えると不安になりませんか?

どくたろう

どくたろう

正直、ゼロだとは思っていない。でも、そこを心配しすぎても仕方がないとも思っている。

切り捨てられることだけを恐れて保険を厚くするより、ぼくは、切り捨てられない医者であり続ける努力をしたい。ていねいに診療して、記録を残して、誠実に向き合う。保険は、その努力をしてもなお避けられない万一に備える、最後の一枚でしかない。

月数千円で、貯蓄では背負いきれないリスクを引き受けてもらえる。この費用対効果を考えれば、ぼくにとって医賠責は「入らない理由がない保険」だ。

どくたろう

どくたろう

保険は最小限。でも、外せない一枚だけは自分で持っておく。それがぼくの結論だよ。

📋 この記事のまとめ

  • ✅ 保険を選ぶ基準は「起きる確率は低くても、起きたら人生が終わる規模のものにだけ入る」
  • ✅ 医療費は高額療養費と貯蓄で吸収できるが、医療訴訟の賠償は億単位になりうるため自分で背負えない
  • ✅ 弁護士費用などの争訟費用は、原則として賠償金の支払限度額とは別枠で補償される
  • ✅ 勤務先の団体保険は内容を確かめにくく、いざというとき頼り切れない。個人でも持っておく
  • ✅ 選ぶときは保険料より「対象範囲」と「自動継続(転勤で切れないか)」を優先した
  • ✅ 最後は保険より、切り捨てられない医者であり続ける努力

⚠️ 免責事項
この記事で紹介している内容は、著者の個人的な経験と考え方にもとづくものです。医師賠償責任保険の補償内容・支払限度額・争訟費用の扱いは、保険会社・加入団体・契約プランによって異なります。実際の補償範囲や加入の判断については、各保険の重要事項説明書などをご確認のうえ、ご自身の状況に合わせてご検討ください。

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