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税金関連

配当控除は、勤務医には効かない——VYMと日本株の配当を「申告分離」だけで処理している理由

2026年9月5日

配当控除は、勤務医には効かない——VYMと日本株の配当を「申告分離」だけで処理している理由

📌 この記事でわかること

  • ✅ 配当の課税方式3つのうち、勤務医が総合課税を選ばない理由
  • ✅ VYMが旧NISAから課税口座へ押し出されて、税務上はむしろ整った話
  • ✅ 外国税額控除の申告が数分で終わる手順と、毎年忘れる問題
  • ✅ 退職後に「申告する/しない」の二者択一になること

ぼくは新NISAの積立をオルカン1本にしている。それなのに、米国の高配当ETF(VYM)と日本の高配当株も持っている。

なぜ持っているかは、これまでに書いた。一度VYMに切り替えて配当の心地よさを知ったこと。将来の自分に「毎月いくら売るか」を判断させたくないこと。

書いていないのは、その配当の税金をどう処理しているかだ。

配当には税金の選び方がある。そして勤務医の場合、選び方によっては損をする。ぼくが毎年どう申告しているかを、判断の理由ごと書いておく。

チワゴ

チワゴ

配当って、受け取るときに税金が引かれて終わりじゃないんですか?

どくたろう

どくたろう

引かれて終わりにもできる。でも申告の仕方は3つあって、どれを選ぶかで手取りが変わるんだ。

🧾 配当の税金は「3つの選び方」がある

上場株式の配当は、受け取る時点で20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されている。その後の扱いは、次の3つから選ぶ。

方式内容
申告不要源泉徴収のまま終了。確定申告に含めない
総合課税給与などと合算して累進税率で課税。配当控除が使える
申告分離課税他の所得と分けて20.315%。譲渡損との損益通算や外国税額控除が使える

一般に「配当は総合課税で申告すると得」と言われることがある。配当控除で所得税の10%分、住民税の2.8%分が引かれるからだ(課税所得1,000万円超の部分は5%と1.4%)。

ただし、これが得になるのは、累進税率が低い人に限られる。所得税と住民税を合わせて見ると、総合課税が有利になるのは課税所得がおおむね695万円以下の場合だ。

課税所得がこの分岐点を超えると、所得税と住民税を合わせた総合課税の負担は、配当控除を差し引いても20.315%を上回る。勤務医の給与所得は、この分岐点を確実に超える。だからぼくは試算をしていない。する必要がないからだ。

チワゴ

チワゴ

給料が高いと、配当控除を使っても逆に損なんですね。

どくたろう

どくたろう

そう。「配当控除がある」という情報だけ拾うと、勤務医は間違える。自分の税率を先に見ないといけない。

もう一つ、2024年度の住民税から「所得税は総合課税、住民税は申告不要」という組み合わせは選べなくなった。以前は所得税だけ総合課税にして住民税を避ける方法があったが、今は所得税と住民税で同じ方式を選ぶ。抜け道は閉じている。

だからぼくは、日本株の配当もVYMの配当も、全て申告分離課税で申告している。特定口座(源泉徴収あり)の年間取引報告書を、そのまま申告に載せる形だ。

📌 NISAの配当が非課税になる条件

NISA口座の日本株配当が非課税になるのは、配当の受取方法を「株式数比例配分方式」にしている場合だけだ。ぼくはこの方式にしていて、特に困ったことはない。ただ、設定を変えずに銀行受取のままだと非課税にならないので、NISAで高配当株を持つなら最初に確認しておくところだと思う。

📤 VYMは、旧NISAから課税口座へ押し出された

ここからが、ぼくの構成の正直な種明かしだ。

ぼくの置き場所は「NISA成長投資枠に日本の高配当株、課税口座にVYM」になっている。税金の話だけ聞くと、これは筋の通った配置に見える。NISAの中で米国ETFを持っても、米国で引かれる10%は取り戻せないからだ。

ただ、ぼくはそう設計したわけではない。

VYMは全て旧NISAで買ったものだ。旧NISAの非課税期間は5年で、期限が来た分から順に課税口座へ払い出されている。いずれ全部が課税口座に移る。売る予定はないので、そのまま持ち続ける。

チワゴ

チワゴ

つまり、選んで課税口座に置いたわけじゃないんですね。

どくたろう

どくたろう

制度の期限で押し出されただけだよ。結果として税務上の形が整った、というのが本当のところ。

税金の順番で言うと、こうなる。

旧NISAにいた5年間は、米国の10%は引かれっぱなしだった。日本の税金はかからないが、外国税額控除は非課税口座の配当には使えない。国税庁もそう明記している。

課税口座に出てきた瞬間から、日本の20.315%がかかる代わりに、外国税額控除で米国の10%分を取り戻せるようになった。つまり課税口座に移ってからのほうが、二重課税は解消されている。

損得を言えば、当然ながら旧NISAにいたころのほうが手取りは多い。それでも「課税口座は不利」とだけ思い込んでいると、この控除を申告し忘れる。ぼくが書いておきたいのは、そこだ。

なお、VYMのような外国法人からの配当は、そもそも配当控除の対象外だ。日本株のように総合課税で控除を狙う余地は最初からない。だからVYMの申告は、申告分離課税で外国税額控除を取る一択になる。

⏱️ 申告作業は数分で終わる。問題は毎年忘れること

外国税額控除と聞くと、面倒そうに感じる人が多いと思う。ぼくもそうだった。

実際にやっていることは、こうだ。確定申告書等作成コーナーにマイナポータルを連携すると、証券会社の年間取引報告書が自動で取り込まれる。外国税額控除の明細書も、取り込まれた数字をもとに金額を打ち込むだけで済む。

作業そのものは数分だ。

チワゴ

チワゴ

数分なら、どこが大変だったんですか?

どくたろう

どくたろう

年に1回しかやらないから、毎年やり方を忘れるんだ。去年どうやったかを思い出すところに、一番時間がかかっていた。

今はその手間もなくなった。手順を忘れていても、AIに聞けばすぐ思い出せる。年に1回の作業の「思い出すコスト」は、この数年でほぼ消えたと感じている。

以前、確定申告は勤務医の必須スキルだと書いた。バイト収入の申告から始めた人なら、外国税額控除の欄が一つ増えるだけだ。新しく覚えることは、ほとんどない。

⚠️ 外国税額控除には限度額がある

その年の所得税額に、国外所得が全所得に占める割合を掛けた金額が上限だ。給与所得が大きい勤務医のうちは、VYMの配当程度なら限度額に収まる。ただし、この前提は退職後に変わる。

⚖️ 退職後は、二者択一になる

ここから先は、まだ決めていない。

以前の記事で、課税口座の配当は申告しなければ国民健康保険や介護保険の保険料判定に含まれない、と書いた。高齢期には「申告しない」が有利に働く場面がある。

一方で、VYMの外国税額控除を取るには申告が必要だ。つまり退職後は、次のどちらかを選ぶことになる。

選択得るもの失うもの
申告する米国の10%を取り戻せる配当が保険料の判定に含まれる
申告しない保険料を抑えられる米国の10%は引かれたまま

しかも退職後は所得税額そのものが減るので、外国税額控除の限度額も小さくなる。申告しても全額は戻らない可能性がある。

チワゴ

チワゴ

先のことですけど、決めておかなくていいんですか?

どくたろう

どくたろう

その時の税制で決めるしかないと思っている。今の制度で最適化しても、20年後に同じ制度が残っている保証はないから。

準備はしておくつもりだ。ただ、以前も書いたように、そのとき判断するのは高齢になった自分である。認知能力が今と同じとは限らない。細かい最適化ができない前提で、多少の税金は諦める設計にしておくほうが、壊れにくいと考えている。

💵 ドルの配当は、通貨分散の必要経費

最後に、なぜVYMを持ち続けるのかを、税金の面から言い直しておく。

VYM分の税金は、退職後に多少多く取られるかもしれない。それでも売らないのは、VYMがドル建ての収入だからだ。

ぼくの老後の生活費は、公的年金と配当でまかなう設計にしている。公的年金は日本円で入ってくる。日本の高配当株の配当も日本円だ。VYMだけが、ドルで入ってくる。

チワゴ

チワゴ

収入の通貨を分けている、ということですね。

どくたろう

どくたろう

そう。税金で少し目減りしても、円しか持っていない状態よりは安心できる。それを必要経費だと割り切っているんだ。

資産効率だけで見れば、オルカンに一本化するほうが有利なのは自覚している。それでも配当を残しているのは、売る判断を減らすためであり、収入の通貨を分けるためでもある。税金の多少の不利は、その対価として払っている。

🩺 勤務医の配当の税金は、こう処理している

ぼくのやり方を、まとめておく。

置き場所処理
日本の高配当株(NISA)非課税。株式数比例配分方式にしておく
日本の高配当株(課税口座)申告分離課税で申告。総合課税は選ばない
VYM(旧NISA)日本の税金はゼロ。米国の10%は戻らない
VYM(課税口座)申告分離課税で申告し、外国税額控除で米国分を取り戻す

大きな判断はしていない。勤務医の税率なら総合課税は不利だから選ばない。課税口座に出てきた外国配当は、控除を申告する。それだけだ。

配当を持つかどうかは、人によって答えが違う。ただ持っているのなら、税金の選び方で損をしないところまでは、年に一度の数分でできると思っている。

📋 この記事のまとめ

  • ✅ 上場株式の配当は「申告不要・総合課税・申告分離課税」の3つから選ぶ
  • ✅ 配当控除が得になるのは課税所得695万円以下が目安。勤務医の給与所得なら総合課税は不利
  • ✅ 2024年度住民税から、所得税と住民税で異なる方式は選べない
  • ✅ NISA口座の米国配当の10%は取り戻せない。課税口座に移ってから外国税額控除が使える
  • ✅ 外国税額控除の申告はマイナポータル連携で数分。忘れないことのほうが大事
  • ✅ 退職後は「申告して10%を取る」か「申告せず保険料を抑える」かの二者択一。まだ決めていない
  • ✅ ドルの配当は通貨分散の必要経費と割り切っている

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※本記事は著者個人の経験と考え方にもとづくものであり、特定の金融商品の購入や特定の申告方法を勧めるものではありません。税額や有利不利は所得や控除の状況によって異なります。記載の制度は2026年9月時点の国税庁公表情報にもとづきます。実際の申告は税務署または税理士にご確認ください。