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家計管理

マイナ保険証にしておくだけでいい。2026年8月、完全移行で本当に変わったこと

2026年8月4日

マイナ保険証にしておくだけでいい。2026年8月、完全移行で本当に変わったこと

📌 この記事でわかること

  • ✅ 2026年8月1日から、期限切れの保険証で受診するとどうなるか
  • ✅ 「マイナ保険証のほうが窓口が安い」という話が、なぜもう古いのか
  • ✅ 限度額適用認定証の申請が、まるごと不要になったこと
  • ✅ 転勤の多い勤務医にとって、切り替え手続きがどう変わるか
  • ✅ 登録さえ済ませておけば、あとは何もしなくていい理由

2026年8月1日、制度が2つ同時に変わった。

ひとつは高額療養費の自己負担上限の引き上げ。これは前回の記事に書いた。

もうひとつが、健康保険証の完全移行だ。高額療養費ほど大きく報じられていないけれど、家計の手続きという意味では、こちらのほうが影響する人が多いかもしれない。

チワゴ

チワゴ

先生、8月に入ってから、受付で保険証のことを聞かれる患者さんが増えた気がします。

どくたろう

どくたろう

制度が変わったからね。しかも、高額療養費とまったく同じ日に変わったんだ。

📅 8月1日、もうひとつ変わったこと

従来の健康保険証は、2024年12月2日に新規発行が終了した。そこから発行済みのものが順次期限を迎えて、2025年12月1日ですべての有効期限が切れている。

ただ、そこで終わりではなかった。その後も「期限切れの保険証を持ってきた患者さんでも、医療機関側で資格を確認できれば、これまでどおりの負担割合で受診できる」という暫定的な取扱いが続いていた。移行期の混乱を避けるための措置だ。

この暫定措置が、2026年7月31日で終了した。厚生労働省は2026年7月1日付の事務連絡で医療機関に周知していて、これ以上の延長はないことも明言されている。

チワゴ

チワゴ

じゃあ、8月1日からは本当に使えないんですね。

どくたろう

どくたろう

そう。ここが区切りになる。

💸 期限切れの保険証しかないと、どうなるか

8月1日以降、期限切れの保険証だけを持って受診すると、「保険証を忘れてきた場合」と同じ扱いになる。

つまり、窓口でいったん医療費の全額、10割を支払うことになる。そのうえで、加入している健康保険組合や協会けんぽ、市区町村の国民健康保険に療養費の支給申請をすれば、自己負担分を超えた額があとから戻ってくる。

チワゴ

チワゴ

戻ってくるなら、損はしないということですか?

どくたろう

どくたろう

金額としては戻る。でも、いったん立て替えるという事実は残るんだ。

3割負担で1万円だった会計が、その場では3万3千円になる。入院や手術ならもっと大きい。しかも戻ってくるのは、申請の手続きをしたあとだ。

必要なのは、次のどちらか一方だけだ。両方をそろえる必要はない。

  • マイナ保険証(健康保険証としての利用登録を済ませたマイナンバーカード)
  • 資格確認書(マイナ保険証を持っていない人に、加入先から交付される書類)

🕰️ 「マイナ保険証だと窓口が安い」は、もう古い

ここからが、この記事で一番伝えたいことだ。

2024年の途中まで、「マイナ保険証を使ったほうが窓口負担が少し安くなる」という案内をよく見かけた。これは当時、間違いではなかった。「医療情報取得加算」という項目があって、初診のとき、紙の保険証だと3点、マイナ保険証だと1点。3割負担にすれば数円の差だが、確かに差はあった。

チワゴ

チワゴ

わたしも、そう説明していた気がします。

どくたろう

どくたろう

当時は正しかったんだ。でも、その差はもうない。しかも、なくなってからだいぶ経っている。

点数の差が廃止されたのは、2024年12月1日だ。マイナ保険証でも紙の保険証でも1点に一本化された。この時点で、患者側から見た窓口負担の差は消えている。

さらに2026年度(令和8年度)の診療報酬改定で、医療情報取得加算そのものが廃止された。医療DX推進体制整備加算と統合され、「電子的診療情報連携体制整備加算」という新しい加算になっている。

時期 仕組み 患者負担の差
2024年6月〜11月医療情報取得加算(初診)
紙の保険証3点/マイナ保険証1点
差あり
2024年12月〜どちらでも1点に一本化差なし
2026年度改定〜加算を廃止し、電子的診療情報連携体制整備加算に統合差なし

新しい加算は、医療機関側の体制がどこまで整っているかで点数が決まる仕組みだ。オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテの情報共有、セキュリティ対策——そうしたものの実装度で区分が分かれる。患者がマイナ保険証を出すかどうかで変わるものではない。

チワゴ

チワゴ

えっ、じゃあマイナ保険証にするメリットって、もうないんですか?

どくたろう

どくたろう

窓口の数円という話ではなくなった、というだけだよ。家計にとって本当に効くメリットは、別のところにある。

検索すると、いまだに「マイナ保険証のほうが安い」と書いてある記事が出てくる。1年8か月前に消えた話だ。ここを判断材料にする必要は、もうない。

ではどこに実益があるのか。ぼくが実際に効いていると感じているのは、次の3つだ。

🏥 実益① 限度額適用認定証を、申請しなくていい

高額療養費制度には、ひとつ面倒な手続きがあった。

窓口での支払いを最初から自己負担限度額までに抑えたい場合、事前に「限度額適用認定証」を健保組合に申請して、届いた書類を医療機関の窓口に提示する必要があった。

申請しなければどうなるか。窓口ではいったん通常どおりの3割を全部払い、あとから限度額を超えた分が払い戻される。

チワゴ

チワゴ

入院や手術の前に、書類を取り寄せておく必要があったんですね。

どくたろう

どくたろう

そう。急な入院だと間に合わないこともある。

マイナ保険証で受診すると、この事前申請が不要になる。オンライン資格確認を通じて限度額の情報が医療機関に渡るので、窓口の支払いが自動的に自己負担限度額で止まる。健保組合への申請手続きもいらない。

ぼく自身、限度額適用認定証を申請したことは一度もない。

子どもが手術を受けたとき、窓口の支払いは最初から自己負担限度額までだった。立て替えは発生していない。あのときは「そういうものか」と思っただけだったけれど、あとから考えると、この仕組みが働いていたということだ。

チワゴ

チワゴ

知らないうちに、恩恵を受けていたんですね。

どくたろう

どくたろう

そう。何もしていないのに、勝手に効いていた。ぼくが一番大事だと思っているのは、そこなんだ。

⚠️ 例外がある
住民税非課税世帯など、低所得の区分に該当する場合は、マイナ保険証を使うときでも「限度額適用・標準負担額減額認定証」の事前申請が必要になる。また資格確認書の場合は、限度額適用の情報が記載されているかどうかで扱いが変わる。加入先の健保組合や市区町村に確認しておくといい。

高額療養費の上限そのものは、2026年8月に引き上げられた。その中身は前回の記事に書いた。上限が上がったからこそ、窓口で立て替えずに済む仕組みは、以前より効いてくる。

🚚 実益② 転勤のたびの手続きが、なくなる

ぼくは医局人事で3回動いている。

そのたびに、前の勤務先に保険証を返却して、新しい保険証が届くのを待つ、という手続きがあった。事務の誘導に従って進めていたので迷うことはなかったけれど、正直なところ面倒ではあった。

チワゴ

チワゴ

その間、保険証は手元にないんですよね。

どくたろう

どくたろう

そう。幸い、その期間に受診が必要になったことはなかった。運が良かっただけだと思っている。

マイナ保険証だと、この部分が変わる。転職や異動で健康保険が変わっても、新しい勤務先で加入手続きが完了すれば、資格情報は自動的に更新される。本人がカードを返したり、新しいカードを受け取ったりする必要がない。扶養している家族の分も、勤務先での手続きを通じて同じように更新される。

ただし、退職から入職までに空白期間がある場合は別だ。その期間は健康保険の資格そのものが一度なくなるので、任意継続、国民健康保険、家族の扶養のいずれかを自分で選ぶ必要がある。マイナ保険証を持っていても、この手続きは省略できない。

勤務医は動くことが多い。ぼくが家を買わずに賃貸を選び続けたのも、動くことを前提に設計したからだ。保険証まわりの手続きが減るのは、その設計思想と同じ方向にある。

🧾 実益③ 医療費控除が、そのまま申告につながる

3つ目は、確定申告だ。

マイナンバーカードをマイナポータルと連携させておくと、1年間の医療費データが自動で取得できる。国税庁の確定申告書等作成コーナーに、そのまま読み込める。

医療費控除で一番面倒なのは、領収書を集めて金額を合計する作業だ。マイナポータル連携があれば、その作業がほぼ消える。

チワゴ

チワゴ

家族の分も、まとめて出てくるんですか?

どくたろう

どくたろう

そこが落とし穴でね。家族それぞれのカードを連携しないと、その人の分は出てこないんだ。

ぼくは家族全員、マイナ保険証の登録を済ませている。

理由は税金のためではなかった。持ち歩くカードを減らしたかったからだ。財布に入れるものが1枚減るなら、それでいい。登録したときの動機は、その程度のものだった。

結果として、医療費控除も、限度額適用認定証も、転勤時の手続きも、あとからついてきた。

医療費控除の細かい条件や、12月分のデータが翌年にずれ込むという注意点は、別の記事に書いている。

✅ 登録さえ済ませておけば、それでいい

チワゴ

チワゴ

結局、わたしは何をすればいいんでしょうか。

どくたろう

どくたろう

マイナンバーカードを保険証として登録する。それだけだよ。

登録が済んでいる人は、もう何もしなくていい。

限度額適用認定証も、転勤時の切り替えも、医療費控除の集計も、登録という一手を打った時点で終わっている。制度がこの先また変わっても、そのたびに動く必要はない。

ぼくが家計まわりで一貫して考えているのは、そこだ。一度設定したら、あとは触らなくていい形にしておく。将来の条件が読めないなら、読まなくても崩れない設計にする。マイナ保険証は、その典型だと思っている。

まだ登録していない人は、マイナポータルやセブン銀行のATMなどから登録できる。カードを持たない、あるいは登録しないという選択をするなら、加入先から資格確認書が交付される。どちらでも受診はできる。

肝心なのは、いずれかを有効な状態で手元に置いておくこと。8月1日以降、期限切れの保険証だけでは、いったん10割を払うことになる。

チワゴ

チワゴ

家族の分も確認しておきます。

どくたろう

どくたろう

そこが一番抜けやすいところだよ。子どもや親の分は、本人が気づけないからね。

📋 この記事のまとめ

  • ✅ 2026年7月31日で暫定措置が終了。8月1日以降、期限切れの保険証だけでは窓口でいったん10割を払うことになる
  • ✅ 「マイナ保険証だと窓口が安い」は2024年12月に消えた話。2026年度改定では加算そのものが廃止された
  • ✅ 家計に効く実益は、限度額適用認定証の事前申請が不要になること。窓口で立て替えずに済む
  • 転勤時の切り替え手続きも原則不要。ただし空白期間がある場合は自分で手続きが必要
  • ✅ 登録という一手だけで、あとは何もしなくていい。家族全員分の確認だけはしておきたい

⚠️ 免責事項
この記事の内容は、著者の個人的な経験と、記事作成時点で公表されている制度にもとづくものです。健康保険の資格確認の取扱い、診療報酬の算定、限度額適用の要件は今後変更される可能性があります。資格確認書の交付方法や記載内容は加入先によって異なります。実際の手続きは、加入している健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の窓口、および厚生労働省の公式情報をご確認ください。

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