フルミストは高いのか——注射2回と「合計」で比べたら、お金も通院も減った
2026年10月3日

📌 この記事でわかること
- ✅ 子どものインフル予防接種を、注射からフルミストに変えた理由
- ✅ フルミストが「高い」かどうかを判断する計算式と、13歳で結果が変わる理由
- ✅ 予約の前に確認したい、自治体と勤務先の助成
- ✅ 予防接種の費用は、医療費控除の対象になるのか
- ✅ 勤務医のぼくが、予防接種代を「推し活」だと思っている理由
毎年10月になると、わが家ではインフルエンザの予防接種の予約が始まる。
家族は4人。ぼくは勤務先で接種できるので、自己負担はない。パートナーと小学生の子ども2人は、いつもの小児科で受けている。住んでいる自治体に助成はないので、3人分は全額自己負担だ。
去年まで、子どもは2人とも注射だった。13歳未満は原則2回接種なので、1シーズンに小児科へ2回通うことになる。
今年、子どもは2人ともフルミストにした。鼻にスプレーするタイプのワクチンで、1回で終わる。
理由はシンプルで、行くのが面倒だったからだ。
チワゴ
面倒だから、ですか? 先生なら、効果の違いで選んだのかと思っていました。
どくたろう
正直に言うと、決め手は通院の回数なんだ。もちろん、医師として確認すべきことは確認したうえでね。
🏥 平日夕方の小児科は、想像以上に混む
注射2回の何が大変だったか。いちばんは、平日夕方の混雑だ。
子どもを連れて行けるのは、学校から帰ってきた夕方になる。ところが、同じ時間帯を狙う家庭はとても多い。秋の小児科は、予防接種に加えて熱を出した子どもも増えてくる。待合室はいつもいっぱいだ。
しかも注射は、1回目と2回目の間を2〜4週間ほどあける必要がある。別々の日に2回分の予約を取り、子ども2人の予定とすり合わせる。それを毎年くり返していた。
さらに、ワクチンは接種してから効果が出るまでに2週間ほどかかる。流行に備えるなら、12月上旬までに接種を終えておくのが目安とされている。2回接種だと、そこから逆算して1回目を早めに済ませる必要があり、予約できる日はさらに限られる。
チワゴ
子ども2人の予定を、2回も合わせるんですね。それだけで大仕事です。
どくたろう
だから、1回で済むなら、それだけで価値があると思ったんだよ。
💉 フルミストは「高い」のか?
フルミストは、注射より料金を高めに設定している医療機関が多い。インフルエンザの予防接種は自由診療なので、料金は医療機関ごとに違う。
料金表を見て「1回あたりが高いからやめておこう」と考える人もいると思う。でも、13歳未満の子どもは、注射だと2回打つ。比べるべきは「1回の料金」同士ではなく、「1シーズンの合計」だ。
たとえば、注射が1回3,500円の医療機関なら、2回で7,000円になる。フルミストが7,000円以下なら、合計ではフルミストのほうが安いか、同じになる。
🧮 判断の計算式
フルミスト1回の料金 ≦ 注射1回の料金 × 2
→ これが成り立つなら、お金の面でも損をしない
わが家の小児科では、フルミスト1回の料金が、注射2回分より安かった。具体的な金額は伏せるが、通院は1回減り、支払いも減った。
チワゴ
1回あたりは高いのに、合計すると安くなるんですね!
どくたろう
値段は「単価」ではなく「合計」で見る。家計を見直すとき、ぼくがいつも使っている考え方だよ。
ただし、13歳以上は注射も原則1回になる。この場合は計算式が成り立たず、多くの医療機関では注射のほうが安くなるはずだ。子どもが13歳になる年は、計算をやり直すタイミングだと思っておくといい。
もう1つ。料金をホームページに載せていない医療機関もある。わが家の小児科も「お問い合わせください」だった。迷ったら、電話で注射とフルミストの両方の料金を聞いてから決めるのが確実だ。
⚠️ フルミストを選ぶ前に知っておきたいこと
フルミストの対象は、2歳以上19歳未満。接種は1シーズン1回だ。
一方で、フルミストは生ワクチンなので、免疫の病気がある子や、免疫を抑える治療を受けている子は受けられない。重い喘息や、ゼーゼーする呼吸(喘鳴)がある子も、事前に医師と相談が必要だ。接種後しばらくは鼻水などにワクチンのウイルスが出るため、家族に免疫の弱い人がいる場合も相談しておきたい。接種後には、鼻水や鼻づまりが出ることがある。
どくたろう
フルミストを選べるかどうかは、子どもの体の状態で決まる。料金や手間で選ぶのは、医師に「どちらでも大丈夫」と言ってもらってからの話だよ。
🔍 予約の前に、自治体と勤務先の助成を確認しよう
料金を比べる前に、もう1つやっておきたいことがある。助成の確認だ。
自治体によっては、子どものインフルエンザ予防接種に助成を出している。自己負担がゼロになる地域もあれば、フルミストを助成の対象にしている地域もある。わが家の自治体には助成がないが、制度は年度ごとに見直されるので、毎年確認している。
見落としやすいのが、勤務先の健康保険だ。健康保険組合や共済組合の中には、家族の予防接種費用を補助しているところがある。一方で、協会けんぽには補助の制度がない。加入している健康保険がどこかは、資格情報のお知らせやマイナポータルで確認できる。自分の勤務先だけでなく、パートナーの勤務先の制度も確認しておきたい。接種前の申し込みが必要なところや、領収書を添えて後から申請するところもある。
チワゴ
勤務先の健康保険から、家族の分まで補助が出ることがあるんですか!
どくたろう
助成があれば、さっきの計算式の答えも変わる。料金を比べるのは、助成を差し引いてからだね。
🧾 予防接種の費用は医療費控除の対象になる?
ならない。医療費控除の対象は、病気やけがの治療にかかった費用だ。予防接種は「予防」なので、対象外になる。
ただし、領収書は捨てないでおきたい。市販薬の費用を差し引けるセルフメディケーション税制では、予防接種を受けたことが申告の条件の1つになり、その証明に領収書が使える。
チワゴ
家族分を払っても、医療費控除にはならないんですね……。
どくたろう
予防は治療ではないからね。だからこそ、払う先は納得して選びたいと思っているんだ。
💚 予防接種代は、お気に入りの小児科への「推し活」
ここからは、ぼくの本音だ。
予防接種は自由診療で、料金は医療機関が決める。払ったお金は、小児科の収入になる。
わが家の小児科は、良心的な料金だと思っている。平日夕方に混んでいるのは、それだけ地域の家族に頼られているということでもある。
子どもが熱を出したとき、すぐに診てもらえる小児科が近くにある。その価値は、金額にできない。そして勤務医として、医療機関が続いていくには収入が必要だということも知っている。
だから、少しでも安い病院を探し回ることはしない。毎年、同じ小児科で打つ。これは、ぼくなりの推し活だ。
推し活には、作法もある。
接種に行く日は、家で体温を測ってから出かける。明らかな発熱があると、その日は接種できないからだ。注射を受ける人は、腕を出しやすい服装で行く。袖をまくりやすい服や、半袖の上に羽織るだけの服がいい。
どちらも小さなことだ。でも、受付での検温や、診察室で服を脱ぎ着する時間が減る。混み合う平日夕方の小児科では、1人あたり数十秒の短縮でも、積み重なれば待ち時間が変わる。推しの負担を減らして、気持ちよく応援する。これが、ぼくのおすすめの推し活だ。
チワゴ
採血のときも、袖がまくれない服の方だと、けっこう時間がかかりますもんね。
どくたろう
そうなんだよ。ちょっとしたことだけど、現場は本当に助かるんだよね。
費用を見直して、最後に考えたのは「どこで削るか」ではなく「どこに払うか」だった。払う先を一度決めておけば、毎年迷わずに済む。迷わずに済めば、その分の時間と気持ちを、目の前の診療に向けられる。
チワゴ
推しの小児科を応援するためのお金、と考えると、払うときの気持ちが変わりますね。
どくたろう
節約は「全部を安くすること」じゃない。削るところは削って、払うと決めたところには気持ちよく払う。お金の不安を減らすって、そういうことだと思っているよ。
📋 この記事のまとめ
- ✅ 比べるのは「1回の料金」ではなく「1シーズンの合計」
- ✅ フルミスト1回 ≦ 注射1回×2 なら、お金の面でも損をしない(13歳以上は計算が変わる)
- ✅ 予約の前に、自治体と勤務先(健康保険組合)の助成を確認する
- ✅ フルミストを選べるかは体の状態次第。まずはかかりつけ医に相談
- ✅ 予防接種代は、地域の小児科を支える「推し活」でもある
⚠️ 免責事項
この記事は著者個人の経験と考え方にもとづくものです。ワクチンの種類や接種の可否は、お子さんの体の状態によって異なります。接種前に必ずかかりつけ医にご相談ください。予防接種の料金は医療機関ごとに異なり、自治体や健康保険の助成の有無・金額・申請方法も毎年見直されます。記載の内容は2026年10月時点の情報です。最新の情報は、医療機関、お住まいの自治体、加入している健康保険の公式情報をご確認ください。