初期研修医2年間の200万円を、ただ放置するだけでいい——大学院から相続まで逃げ切る試算
2026年6月21日

📌 この記事でわかること
- ✅ 初期研修医時代に貯めた200万円を、もし投資に回して放置していたらどう育つか
- ✅ 大学院・子どもの教育費・老後の医療費まで、タイミングごとにどの程度カバーできるか
- ✅ 「使うタイミングを先送りできる」という発想が、なぜキャッシュフローを楽にするのか
- ✅ 子ども世代が早くから投資を始めることで、同じ複利の恩恵をさらに長く受けられる理由
- ✅ NISAを相続するとき、損をするわけではない理由
チワゴ
先生、最近お金の将来がちょっと不安で。とりあえず「200万円貯める」を目標にしてみようかなって思ってるんです。
どくたろう
いい目標だね。実はその200万円、貯めて終わりじゃないんだ。貯めたあとにどう置いておくかで、人生の節目をかなりの部分まで乗り越えられる計算になる。
チワゴ
節目を乗り越える……?貯金じゃなくて、ですか?
どくたろう
そう。実はぼく自身、初期研修医の2年間でコツコツ貯めたお金が、合計でだいたい200万円あったんだ。ただ、当時のぼくはそれを投資には回さなかった。奨学金の返済に充てたんだよ。
チワゴ
あ、前に奨学金360万円を完済した話をされてましたよね。
どくたろう
そう、あの200万円もその一部。返済を最優先したから、結果的に投資には回らなかった。でも最近、もしあのタイミングで投資に回していたらどうなっていたか、計算してみたんだ。
チワゴ
奨学金がなければ、投資に回せていたかもしれない、ということですか?
どくたろう
そういうこと。奨学金がない人や、すでに完済している人なら、初期研修の2年間で貯めた200万円を、そのまま後期研修に入るタイミングで投資に回して、あとは放置するという選択ができる。今日はその「もしも」の計算をしようと思う。
200万円を、ただ置いておくだけだったら
どくたろう
前提を整理しておくね。初期研修1年目・2年目で、給料から少しずつ貯めたお金の合計が約200万円になった。ぼくの場合はこれを奨学金の返済に使ったけど、もし返済の必要がなければ、後期研修1年目のタイミングで、オルカン(全世界株式インデックスファンド)にまとめて投資していたはずなんだ。
チワゴ
そこから追加では入れない想定ですか?
どくたろう
そう。別で積立投資は続けるとしても、この200万円は「最初に入れたら、あとは触らない」というお金として、別枠で置いておく。これが今回の試算の前提。
チワゴ
なんでそんな置き方をするんですか?
どくたろう
時間を味方につけるためだよ。投資の世界では、複利の効果は「期間が長いほど」効いてくる。だから一度入れたら、あとは時間にまかせて何もしないのが、実は一番合理的なんだ。
200万円が、年数とともにどう育つか
どくたろう
年利7%(オルカンの長期平均を参考にした想定値)で試算すると、こうなる。
💰 200万円を年利7%で運用した場合(追加投資なし)
| 経過年数 | 評価額(目安) |
|---|---|
| 5年後 | 約280万円 |
| 10年後 | 約393万円 |
| 20年後 | 約774万円 |
| 30年後 | 約1,522万円 |
| 40年後 | 約2,995万円 |
チワゴ
40年後には3,000万円近くになるんですね……。
どくたろう
そう。しかも、この数字には意味がある。それぞれのタイミングが、ちょうど人生の大きな出費と重なってくるんだ。
大学院費用は、5年程度でほぼ届く
どくたろう
後期研修に入ってから5年程度というと、大学院を考えるタイミングと重なる人も多い。多くの国立大学の大学院では、学部にかかわらず授業料の標準額が決まっていて、入学金28万2,000円、年間授業料53万5,800円。4年間で計算すると、合計は約243万円になる(※大学によっては授業料を独自に値上げしている場合もある)。
チワゴ
さっきの試算だと、5年後で約280万円でしたよね。
どくたろう
そう。つまりこの200万円だけで、国立大学院の学費はほぼまかなえる水準になっている。新たに学費を準備する必要がなくなる、ということだ。
教育費は、20年後にほぼ到達する
どくたろう
次は20年後。これは子どもが生まれてから大学に上がるくらいのタイミングに近い。以前、教育費の記事で「公立モデルなら教育費の合計は約850万円」という試算を出したよね。
チワゴ
幼稚園から大学まで全部公立・国立で通った場合の数字でしたね。
どくたろう
20年後の評価額は約774万円。850万円にはわずかに届かないけど、ほぼ近い水準まで来ている。しかも、これは「最初の200万円」だけの話。実際には児童手当やこどもNISAでの積立も並行して進めているから、トータルで見れば教育費は十分にカバーできる計算になる。
老後の医療費を確保して、なお残る
どくたろう
そして40年後。これは老後、医療費がかさんでくる時期と重なる。以前、高額療養費制度の記事で「定年後35年間(65〜100歳)の医療費のアガリは、最大でも約1,295万円」という試算を出した。
チワゴ
年金収入だけになると自己負担の上限が下がるから、という話でしたよね。
どくたろう
そう。40年後の評価額は約2,995万円。老後の医療費アガリ約1,295万円を確保しても、まだ約1,700万円が残る。この残りが、実質的には相続財産になっていく。
チワゴ
大学院も、子どもの教育費も、老後の医療費も……全部、最初の200万円が起点になっているんですね。
どくたろう
そういうこと。一度に200万円を準備する必要はないんだ。初期研修の2年間という、限られた期間でコツコツ貯めただけ。あとは置いておいただけで、人生の節目がひとつずつ乗り越えられる計算になる。
「先送りできる」という発想
チワゴ
でも、実際にその場面が来たら、200万円から育った分を取り崩して使うんですか?
どくたろう
いや、そこがポイントなんだ。大学院の学費も、子どもの教育費も、基本的には別で続けている積立投資や、その時々の給料、つまりキャッシュフローでまかなうことを優先する。この200万円は、あくまで「万が一」のための備えという位置づけなんだ。
チワゴ
万が一、というと?
どくたろう
例えば、想定より出費がかさんだとか、一時的に収入が落ちたとか。そういうときに初めて取り崩す候補になる、というだけ。基本的には手をつけず、先送りし続けるのが前提だよ。
チワゴ
じゃあ、途中で積立投資の方が続けられなくなったら……?
どくたろう
それでも大丈夫なんだ。仮に途中で積立が途切れてしまっても、最初の200万円さえ手をつけずに残せていれば、それだけで十分な備えになっている。土台がすでにできているから、途中で多少崩れても致命傷にならない。
チワゴ
使わずに済むほど、安心材料が積み上がっていくんですね。
どくたろう
そう。これは保険と似ているようで、まったく違う。保険は「何かあったときにもらえるかもしれない」お金。でもこの200万円は、何もなくても確実に育っていく。死亡保障として現金を確保しておく、という考え方と比べても、長期投資で育てた方が、結果的に同じ目的を上回ることが多いんだ。
子ども世代も、時間を前借りできる
どくたろう
そしてもう一つ。これは自分の200万円だけの話じゃない。子どもにも同じ仕組みを早くから持たせてあげられたら、という話を以前の記事で書いた。
チワゴ
こどもNISAの記事ですよね。
どくたろう
そう。2027年からこどもNISAが始まる予定で、未成年のうちから年間60万円まで非課税で投資できるようになる。子どもが小さいうちから投資を始めれば、社会人になってから自分で始めるよりも、何十年も長く複利の恩恵を受けられる。自分が初期研修医の2年間で「時間を稼げたかもしれない」のと同じことを、子どもにはもっと早い段階から経験させてあげられる、ということだね。
チワゴ
自分の世代と、子どもの世代、両方で時間を味方につけるんですね。
相続のとき、損をするわけではない
チワゴ
ちなみに、その200万円が育った資産を実際に子どもが相続するとき、何か注意点はあるんですか?
どくたろう
一つだけ。NISA口座は、相続するときに非課税のまま引き継ぐことはできないんだ。相続が発生した時点で、いったん精算されて、相続人の課税口座に移管される。
チワゴ
それって、損しちゃうということですか?
どくたろう
いや、そこは安心していい。相続が発生するまでの含み益は非課税のまま引き継げる。損をするわけじゃないんだ。ただ、相続したあとに口座を運用していく中で得られる利益には、これまで通り税金がかかるようになる、というだけの話。
チワゴ
じゃあ、そこから先は子どもたち自身が頑張る番、ということですね。
どくたろう
その通り。ここまでの仕組みは、種をまいて育てる段階。実をどう収穫していくかは、受け継いだ世代が考えればいい。少なくとも、種そのものが目減りしているわけじゃないんだから。
まとめ
- ✅ 初期研修医2年間で貯めた200万円を、もし後期研修1年目に投資へ回して放置していたら、というのが今回の試算
- ✅ 5年程度(約280万円)で国立大学院の学費(約243万円)、20年後(約774万円)で子どもの教育費にほぼ到達する
- ✅ 40年後(約2,995万円)には老後医療費のアガリ(約1,295万円)を確保しても、約1,700万円が相続財産として残る
- ✅ この200万円は万が一の備えとして温存し、基本は別の積立やキャッシュフローで対処すればいい。途中で積立が途切れても、最初の200万円が残っていれば十分な土台になる
- ✅ NISA口座は相続時に課税口座へ移管されるが、含み益までは非課税で引き継がれるため損をするわけではない
奨学金がある人は、まず返済を優先していい。それでも、初期研修の2年間で貯めた200万円というお金には、それだけの力があります。返済が終わったあと、あるいは最初から奨学金がない人なら、その200万円をただ置いておくだけで、大学院から相続まで、人生の節目の多くをキャッシュフローで乗り越えられる計算になります。最初の一歩は、限られた2年間で種をまくこと。あとは時間が育ててくれます。
※投資の年利7%はあくまで過去の長期平均を参考にした試算で、将来の運用成果を保証するものではありません。教育費・医療費・相続財産の試算は一般的なモデルケースに基づくものであり、実際の金額は個人の状況により異なります。大学院の学費は大学・課程によって異なります。NISAや相続税の取り扱いは個別の状況によって異なるため、必要に応じて税務署や専門家にご相談ください。この記事は特定の商品の購入や投資判断を勧めるものではありません。